床矯正の装置

装置は、いつ装着するのですか?

早期に治療を終えたいのであれば、できるだけ長時間装置は装着しましょう。

食事、歯磨き、英語・国語・音楽などの発育障害を生じそうな場合は装置をはずします。

咬む力が、移動した歯をより安定した位置へ修正します。
咬む刺激を考え、食事の時は装置を必ずはずしましょう。

また、学校でいじめの問題にあったり、勤務中に支障のある場合は装置をはずしましょう。
少し治療時間がかかっても一日12時間以上装着していれば治療は可能です。

これより短い時間の装着においては、歯を抜く治療方法などに方針を変更せざるを得ないでしょう。
装置をはずしていると「後戻り」をして、装置がきつく感じる場合があります。

装置がきつくなる場合には、ネジを半回転巻き戻して装着し、30分後に元に戻します。
新たに回転する場合は、2~3時間後に処置します。

両手で装置をはずしましょう。片手ではずすと装置をとめているバネが金属疲労で折れてしまいます。
バネがゆるくなり装置がはずれやすくなったら、バネを調整しますので、来院の予約をしましょう。

硬いせんべいを食べても痛くない…なぜでしょう?
それは、上顎の歯肉は厚いからです。床装置を上顎に装着しても痛いと感じることはありません。

ネジはいつ巻くのですか?

装置には、平行に拡がるタイプと扇状に拡がる2つのタイプがあります。
平行に拡がるタイプの装置は、ネジを90°回して0.2mm、
扇状に拡がる装置のタイプは、ネジを90°回して0.8mm拡大します。

歯を前方、後方に移動する場合は平行に拡がるタイプに準じます。
拡大は、一週間で45°ずつ2回巻くことを基本としています。
痛い場合、成人の場合は、一週間で30°ずつ3回拡大します。
上顎の平行タイプでは、痛くなければ一ヶ月から一日おき、毎日拡大していきます。

一週間で0.7mmの顎の拡大量がベストです。
つまり、上顎は3mmの拡大が可能です。
下顎の骨の構造は、上顎の骨と違って、一本の骨からできています。

また、口は食べ物を粉砕するところですから、
上顎の歯肉は、食物片が当たっても痛くないように厚くなっていますが、
下顎の舌の下側の歯肉は食べ物が当たりません。

下顎の歯肉は薄くできています。
そのため下顎の拡大は、一週間で45°ずつ2回の拡大で一ヶ月で1mmの拡大が基準です。
治療は適切に拡大ネジを回すことです。

拡大しなければ、いつまでたっても治療は終了しません。

病気の時も装置を装着するのですか?

病気の時は装置をはずしましょう。
熱があって、苦しい時は装置をはずします。
無理することはありません。

長期間、装置をはずしていた場合、装置は当然適合しなくなります。
適合するまで、装置のネジを巻き戻します。
一日で、約90°巻き戻すことが可能です。

床矯正の利点です。
たとえば、一週間はずしていると約7回巻き戻せます。
巻き戻した7回は、病気が治ってから一日一日巻き直していきます。
まったく合わなくなったら、プラスティックの床の部分だけ交換します。

装置の手入れ方法は?

口の中は、バイ菌が繁殖して汚いところです。
床装置も、当然歯と同様に汚れます。

写真の装置は、まったく清掃していません。
口の中に無関心だとむし歯や歯周病になります。
矯正治療以前の問題です。

装置は「入れ歯」と同じ材質です。
市販の義歯洗浄剤を使用したり、ブラッシングの時に装置を歯ブラシで清掃しましょう。